エレキバイオリンの音作り2018版

ここのところエレキバイオリンは弾いてはいるものの、
音作りに関しては追求せずお休みしていました。

最新の音はCaminaryというオリジナル曲で作った音。

これはアンシミュ部分をLINE6のPODHD500Xで作っていました。
これで概ね良かったんですが、アンシミュ部分でいくつか気になってたんですよね。

  • 音のコシが弱い(もっとローミッドの粘りがほしい)
  • ハードなのでリアンプしたくてもしづらい
  • 宅録ではそもそもペダルボードを出しっぱなしにするスペースがない

その後はBIASを導入してみたんだけど、どうもダメでした。

が、ついに「お、これじゃん」というセッティングを見つけたので
自分の備忘録的な意味合いもこめてコラムに書いておきます

Amplitubeが最強だった

結論から言うと、エレキバイオリンにはAmplitubeが良かったです。
Amplitube4のFender Collection Twin Reverb。

アンプ、キャビ、ルームマイクなどすべてが有効打ですね。
もともとAmplitubeはJC120のシミュなんかでもエレキバイオリンにしっくりくるなあと思っていたのですが、
今回あらためてAmplitubeの強さを再認識。
低域の粘りやハイの自然な減衰、音を突っ込んだときの歪に対する強さなど、
他のアンシミュと比べてかなり良いです。

さて、エレキバイオリンだとAmplitubeが良いんですが、
ギターだとどうなんだろう。
BIASが良いとかよく聞きますが。

せっかくなのでギターとエレキバイオリンで比較検証してみました。

エレキギターでアンシミュ検証

手持ちの各社アンシミュプラグインでFender Twin Reverbを使ってみました。
Amplitube4 / Helix Native / BIAS Amp / Guitar Rig5の順番です。

設定は概ね同じようなセッティングにしていますが(MID10、Bass8、Treble4前後)、
モデル元の年式によってきっと挙動が違うと思うので、ある程度音も聞きながら合わせています。
マイキングは57のオンマイク(Guitar Rigはマイクモデルが明記していないので不明ですが)。
ギターはLINE6のVariaxでテレキャスのモデル。

完全に同じ音は目指していないのですが、概ね同じようにセッティングすると

  • Amplitube:すこし曇った温かみのあるヴィンテージ感
  • Helix:CDで聴くようなキレイな整った感じがありつつも、ギラつきを抑えてる
  • BIAS:HelixよりもCDっぽい、ギラッと今時な感じ
  • Guitar Rig:Amplitubeにちょっと近いけど、もうちょっと暗くてノイジー<

HelixとBIASはDriveやGainを上げると歪ませられるというのもあって、
『Twin Reverbの質感を持つ使い勝手の良いアンプ』という印象ですね。

ギターで聴くとどれもアリだなと思うので、
ほしい音やプレイスタイルに合わせて選ぶくらいの感じかなー、と思います。
ぼく的にはAmplitubeかHelixが良いかな。

* あくまでギタリストではないぼくが弾いて、Fenderで比較した話です。

エレキバイオリンでアンシミュ検証

同じような検証をエレキバイオリンでも試してみました。
Amplitube4 / Helix Native / BIAS Amp / Guitar Rig5の順番です。

設定はBASS、MIDが10、Trebleは5〜7くらいで、なるべくどのモデルでも同じように鳴るセッティングを狙っています。
マイキングはエレキバイオリンを活かすためステレオにしています。

Amplitubeみたいな太さが理想的なんですが、同じような音は他のアンシミュだと出ません。
HelixやBIASはもっと太くできそうなんですが、これ以上やると歪んでしまう…。
(実はAmplitubeはローミッドが出るのでトーンも10まで上げてません)

次点ではやはりギターのときと同じくHelixかな。
PODと方向性が同じで、LINE6という感じがします。
ローが少し物足りないのと、ハイでピエゾのいやらしい質感がちょっと残りがちなのが惜しい。

この結果を見る限り『エレキバイオリンはAmplitube』かなと思います。

Amplitubeがなぜエレキバイオリンに良いのか

単純なぼくの推測ですが、アンシミュについては

『トータルでどういう音がギタリストにとって良いか』

という各社のコンセプトがあって、Amplitubeのそれがエレキバイオリンのニーズに合致したような気がします。

ぼくの印象だと

  • Amplitube : アンプの出音をマイクで集音したサウンド
  • Helix:リアルなアンプを意識しつつも、いろんなジャンルに対応できるミックス済みのサウンド
  • BIAS Amp : ギタリストをフィーチャーするようなミックス済みのインスト向けサウンド
  • Guitar Rig5 : 比較的Amplitubeに近い方向性のサウンド

例えばHelixやBIASなんかは低域は少しスッキリさせておいたほうが良いと思って
整えていそうな印象ですね。

AmplitubeはもともとIK Multimediaがミックス用プラグインを出しているのもあって、
入力音に対する実機挙動の再現性を重視してるのかも。
なのでギター以外のソースを突っ込んでもアンプっぽい挙動が出るのでは…。
もう完全に憶測ですけど。

そういう視点で見るとKemperみたいなアンプキャプチャーは
エレキバイオリンにも向いているんだろうな、と思います。
まあエレキバイオリンのベストセッティングを見つけてキャプチャーするのが
まず至難の業だと思うので、沼っぽいけど。

ライブでAmplitubeを使うには…

エレキバイオリン弾きはほぼライブ演奏を想定していると思うので
プラグインだと困る、という方も多数いそうですが、
iOS版のAmplitubeもあります。

最近はiOSのAmplitubeがPC版と同じアルゴリズムになって、
Fender Collectrionと同じ’65 Twin Reverbもあるとのことで、
出音はほぼ同じなんじゃないかと思います(ぼくも未確認ですけど)。

iOS版はエフェクトルーティングなどがPC版より簡略化されて入るものの、
専用フットコントローラーも出てますので、かなり使い勝手はハードウェアライクだと思います。

(iPad持ってないのに先に買ってしまった…)

エレキバイオリンの音作りの道

今回あらためてわかったのは
『ギターで良いとされている機材がすべてエレキバイオリンに良いとは限らない』
ですね。
明確なビジョンと意思を持って選ばないといけないなあというのがわかりました。

ちなみにAmplitubeを買っておけばエレキバイオリンは絶対安心か、というとそうではなく、
それ以外にも理想の音を出すためにプリプロセッシングが必要なのです…。

ちなみにぼくはペダルでプリプロセッシングしていまして、
それがあるのと無いのとでまた格段に音が違います。
これはまたいつか記事にしようかと思います。

ということで、オマケで録った素材から曲っぽい形にしました。

ギター練習してポストロックっぽい質感の曲を作りたいです。